大分の中小企業の生成AI活用事例3選
2026-07-15 執筆: 今長 学(Exist Japan株式会社 代表取締役)
先日、大分県内のある企業様から「4時間かかっていた作業が、5分で終わるようになったんです」というお声をいただきました。
僕自身、これまで大分を中心にマーケティングのサポートを100社以上させていただき、生成AIをテーマにした講演も200回以上重ねてきました。その中で感じるのは、「生成AI=すごい技術」という捉え方をしている方が、まだまだ多いということです。
でも実際に成果が出ている現場を見ると、話はもっとシンプルです。生成AIは「毎日繰り返している面倒な作業」を、代わりにやってくれる存在。特別な業種や大きな会社だけの話ではなく、大分の中小企業の日常業務でこそ、力を発揮します。
今回は、僕が実際にご一緒させていただいた3つの事例をもとに、「どんな業務が」「なぜ短縮できたのか」「再現するにはどこがポイントか」を、できるだけ具体的にお伝えしたいと思います。企業名や業種の詳細は守秘の関係で伏せますが、大分で同じような悩みを抱える経営者の方に、少しでもヒントになればうれしいです。
事例1|大分県日出町の企業様:定型業務が4時間から5分に
まず1つ目は、大分県日出町の企業様の事例です。もともと4時間かかっていた定型業務が、生成AIの導入によって5分程度まで短縮されました。
定型業務というのは、毎回やることが決まっているのに、人の手でやると地味に時間を食う仕事のことです。フォーマットに沿って情報をまとめる、決まったルールで文章や資料を整える、といった作業がこれにあたります。
なぜここまで短縮できたのか。理由はシンプルで、「毎回同じ手順を繰り返している業務」ほど、生成AIに指示(プロンプト)として渡しやすいからです。人間が頭の中で無意識にやっている「この場合はこう処理する」というルールを、一度きちんと言葉にして生成AIに渡してしまえば、あとはAIが同じ精度で高速に繰り返してくれます。
再現するためのポイントは、次の2つだと感じています。
- ①その業務の「手順」を、担当者の頭の中から一度紙に書き出すこと。 属人化している作業ほど、実は手順自体はパターン化できることが多いです。
- ②いきなり100点を狙わないこと。 最初はAIの出力を人がチェックしながら、少しずつ「このルールも伝えておこう」と指示を育てていくと、精度が上がっていきます。
「4時間が5分に」と聞くと特別な魔法のように思えるかもしれませんが、実際は「決まった作業を、決まった通りにAIに渡した」だけなんです。
事例2|大分市の中小企業様:業務時間120時間が8時間に
2つ目は、大分市の中小企業様の事例です。ある業務にかかっていた時間が、月間120時間から8時間まで短縮されました。
こちらは1つの作業というより、複数の工程が積み重なった業務全体の見直しに近い事例です。情報を集める、整理する、資料にまとめる、といった一連の流れの中に、生成AIが得意とする「文章の整理」「情報のまとめ」「たたき台づくり」を組み込んでいきました。
ここで大事なのは、生成AIに「全部を丸ごと任せる」のではなく、「工程ごとに使う」という発想です。すべてを一気に自動化しようとすると、途中でつまずいたときに何が悪いのか分からなくなります。工程を分解して、それぞれにAIを当てはめていくことで、無理なく大きな時間短縮につながりました。
再現するためのポイントはこちらです。
- ①業務を工程ごとに分解して書き出すこと。 「情報収集」「整理」「資料化」など、ひとまとまりに見える仕事も、分けてみると生成AIが得意な部分と、人がやるべき部分がはっきり見えてきます。
- ②「AIが8割、人が2割で仕上げる」くらいの感覚を持つこと。 完璧を求めすぎず、AIが作ったたたき台を人が最終確認・調整する体制にすると、スピードと質のバランスが取れます。
120時間が8時間になるというのは、単純計算でも100時間以上、人の時間が浮くということです。その時間を、本来お客様と向き合う仕事や、新しいことに挑戦する時間に使えるようになる。これこそが、生成AIを導入する本当の意味だと僕は思っています。
事例3|LP制作(Meta広告含む):外注3ヶ月が約3時間に
3つ目は、LP(ランディングページ)制作の事例です。Meta広告も含めて、これまで外注すると3ヶ月ほどかかっていた制作を、約3時間で内製化できました。
LP制作は本来、企画・デザイン・文章作成・実装という複数のプロセスがあり、外注先とのやり取りにも時間がかかるものです。修正依頼を出して、返ってくるのを待って、また修正して……というやり取りだけで、あっという間に数週間、数ヶ月が過ぎてしまいます。
生成AIを使うと、この「企画から形にするまで」の距離が一気に縮まります。文章のたたき台も、デザインの構成案も、広告文の候補も、AIとの対話の中でその場で形にしていける。外注先とのやり取りで発生していた「待ち時間」そのものがなくなるのが、最大の理由です。
再現するためのポイントはこちらです。
- ①「誰に、何を伝えたいLPか」を先に自分の言葉で整理しておくこと。 ここが曖昧なまま生成AIに丸投げすると、なんとなく形だけ整った、刺さらないLPになってしまいます。
- ②AIが出したものを「たたき台」として扱い、自分たちの言葉で磨き直すこと。 特にMeta広告と連動させる場合は、自社のお客様に対する理解が反映されているかどうかで、成果が大きく変わります。
僕がいつもお伝えしているのは、マーケティングとは「お客様の方から買いたくなる仕組みをつくること」だということです。生成AIはあくまで、その仕組みを形にするスピードを上げてくれる道具。道具をどう使うかは、結局のところ「お客様をどれだけ理解しているか」にかかっています。
まとめ|まずは「毎日の定型業務」を棚卸しすることから
ここまで3つの事例をご紹介しましたが、大切なのは「効果は業務の内容によって大きく異なる」ということです。今回のように4時間が5分になる業務もあれば、そこまで劇的な変化が出ない業務もあります。すべての業務が同じように短縮されるわけではありません。
それでも共通して言えるのは、生成AIが力を発揮しやすいのは「毎日、あるいは毎週、決まった手順で繰り返している定型業務」だということです。逆に言えば、そういう業務が自社にどれだけあるかを把握しないまま「うちも生成AIを導入しよう」と考えても、なかなか効果は見えてきません。
最初の一歩としておすすめしたいのは、難しいツールの勉強から始めることではなく、「自分たちが毎日やっている定型業務を、一度紙に書き出してみること」です。書き出してみると、「これは実はパターン化できる」「これは人にしかできない判断だ」という線引きが、意外とはっきり見えてきます。その棚卸しができれば、生成AIをどこに当てはめるべきかは、おのずと見えてくるはずです。
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