大分の中小企業がAI導入でつまずく3つの壁|失敗を防ぐ進め方

2026-07-16 執筆: 今長 学(Exist Japan株式会社 代表取締役)

「AIを入れたほうがいいのはわかっている。でも、何から手をつければいいのかわからない」

大分で企業向けのAI研修をやっていると、この言葉を本当によく聞きます。僕はこれまで100社以上のマーケティングサポートと、累計500名以上へのAI研修をしてきましたが、AI導入でつまずくポイントは、実はどの会社もほとんど同じなんです。

大分の中小企業には、都市部と違う事情があります。専任のIT担当者がいない会社がほとんどで、社長自身が現場も経理も見ている。新しいことに割ける時間が、そもそも少ないんです。だからこそ、遠回りせずに最短ルートで進めることが大事だと僕は考えています。

この記事では、大分の中小企業がAI導入でつまずく「3つの壁」と、その乗り越え方を、研修現場で実際に見てきた実例つきでお伝えします。

壁①:目的が曖昧なまま「ツール選び」から入ってしまう

一番多いつまずきが、これです。

「ChatGPTがいいのか、Claudeがいいのか」「有料プランは必要なのか」。ツールの比較から入ってしまって、そこで止まってしまうパターンです。

でも、順番が逆なんです。

まず決めるべきは「どの業務の、どの作業を楽にしたいか」。ツールはその後です。

僕が研修でおすすめしているのは、こんな順番です。

① 社内の「時間を食っている業務」を紙に書き出す(見積書作成、議事録、報告書、SNS投稿…) ② その中から「文章を書く・読む・まとめる」が絡む作業に印をつける ③ 印がついた作業から、1つだけAIに任せてみる

実際、大分県内のある製造業の会社では、この順番で「報告書の下書き」だけをAIに任せたところ、4時間かかっていた作業が5分になりました。ツールの機能を全部覚える必要はありません。自社の1つの業務が楽になれば、それがAI導入の成功なんです。

壁②:セキュリティが不安で、足が止まる

「社内の情報をAIに入れて大丈夫なの?」

この不安、とても健全だと僕は思います。むしろ、何も考えずに顧客情報を入力してしまうほうがずっと危険です。

ポイントは「禁止」ではなく「ルールを決めて使う」こと。

■ 最初に決めておきたい3つのルール ・顧客名・個人情報はそのまま入力しない(「A社」「Bさん」に置き換える) ・会社として使うツールと有料プランを決める(野良利用を防ぐ) ・迷ったら入力しない。判断する担当者を1人決めておく

実は、生成AIの主要サービスには「入力データを学習に使わせない」設定や法人向けプランが用意されています。正しく設定すれば、過度に怖がる必要はありません。研修では、この設定を受講者全員のパソコンでその場で済ませてしまいます。不安の正体は「知らないこと」なので、知ってしまえば壁は思ったより低いんです。

壁③:AI導入しても「一部の人しか使わない」

三つ目の壁は、導入した後にやってきます。

社長や若手の数人だけが使っていて、現場に広がらない。数ヶ月後には「うちはAI入れたけど、結局使ってないなあ」になってしまう。これが一番もったいないパターンです。

原因ははっきりしていて、「自分の業務でどう使うか」に翻訳されていないからです。

AIの一般論を聞いても、人は動きません。経理の方には経理の使い方、営業の方には営業の使い方。「あなたの明日の仕事がこう変わる」まで落とし込んで、はじめて使われるようになります。

僕の研修を3時間の「実践型」にしているのは、これが理由です。座学で聞くだけではなく、その場で自分の業務を題材に手を動かしてもらう。先日、津久見商工会議所で開催したセミナー(24名参加)でも、受講後アンケートは満足度4.1/5。「明日からすぐ使えそう」という声を多くいただきました。

もう一つ、定着に欠かせないのが「経営者自身が使うこと」です。社長が「議事録はAIでまとめたよ」と言う会社は、現場も自然と使い始めます。逆に、社長が触っていない会社でAIが根づいた例を、僕はほとんど見たことがありません。

社内に広げるコツは、たった一つ。**「全員が、自分の業務で、一度成功体験をすること」**です。

まとめ:壁の正体は「技術」ではなく「進め方」

3つの壁を並べてみると、気づくことがあります。

つまずきの原因は、AIの技術が難しいからではありません。進め方の順番と、社内の巻き込み方。つまり「人」の問題なんです。

だからこそ、僕はAI導入を「ツールの導入」ではなく「働き方を優しくする取り組み」だと考えています。AIは最強の秘書です。面倒な作業をAIに任せた分、浮いた時間でお客様に向き合う。その順番さえ間違えなければ、大分の中小企業にこそAIは大きな武器になります。

「うちの場合はどこから始めればいい?」という方は、お問い合わせページからお気軽に僕にご相談ください。大分県内なら出張費無料で、御社に伺って一緒に考えます。

導入企業の具体的な変化は導入事例でも紹介しています。あわせてどうぞ。

今長 学(いまなが まなぶ)の顔写真

この記事の著者: 今長 学(いまなが まなぶ)

Exist Japan株式会社 代表取締役。経産省認定 経営革新等認定支援機関、大分県中小企業アドバイザー。ChatGPTビジネス活用研修 受講者累計500名以上、登壇200回以上。大分県内の中小企業のAI活用とマーケティングを支援。→ プロフィール詳細